三苫修『朧釉碗』五寸／初期伊万里 李朝 皿 鉢 古唐津 黒高麗 オンギ

大分県日田市を拠点に作陶する、陶芸家・三苫修さんの五寸の『朧釉碗』で、李朝の古い木の椀を手本にして制作されたものです。

釉薬の名称に「朧（おぼろ）」と表現されているように、うつろいやすくて儚げな自然の大気の揺らぎを感じさせるような淡く曖昧な水色が特徴的です。
三苫さんの定番の釉薬のひとつですが、地元の山から採ってきた材料を手で砕き自作しているので生産量が少なく、しばらく作られない時期もあるようです。

全体に丸みのある愛嬌のあるフォルムで、口縁が薄い作りなので口当たりもよく、器の重心がどっしりと下方にあるため手取りも良く安定感のある器です。
丼として、韓国料理にもある牛肉のスープなど汁物をたっぷりいただきたい時など、または蕎麦やうどんに雑煮など・・・一器多様に用いることができる「碗」です。

三苫さんの主な技法は「型作り」。ロクロは使わず、型による成型や手捻りだけで器を作っています。
シンプルながら、型作り独特の「揺らぎ」のある形が特徴的で、灰粉引・鉄釉・黄石釉・鉄赤・藁白釉など、地元で採れる灰や土を使って制作されています。手間ひまをかけ完成される作品群は、色や濃淡、釉薬からなる表情、窯で焼成した後のゆがみやゆらぎ、そのすべてが唯一無二の存在となっています。

神奈川県北鎌倉の工芸ギャラリー「蓮依」で三苫さんの個展の際に購入、新品未使用の自宅保管品になります。
大きさは、径15.3cm×高さ（深さ）8cm。

元よりヒビや欠けなどはありませんが、三苫さんの器ならではの味わいがありますのでそのへんご理解いただけますようお願い申し上げます。

山本亮平 梶原靖元 浜野まゆみ

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